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大昔。12月の師走に親父と上野はアメ横を一緒に歩いていました。
アメ横は正月の買い物客でとても混んでいました。
大勢の道行く人々にもみくちゃにされながら親父の手を握って歩んでいると、
店のガラスに何か絵が描かれているモデルガンショップがありました。
親父が「ちょっと覗いていこう」と、店内の扉を開きました。
そのショップに入店すると壁という壁に拳銃やライフル銃がいっぱい飾ってありました。
親父と私は壁伝いにそのモデルガンたちをジーっと見て歩くと親父はある鉄砲のところで足を止めました。
私も見たことのある鉄砲です。
親父が「これカッコいいな〜」と言った記憶がございます。
その鉄砲はTV画面の中でナポレオン・ソロがバカスカ敵をなぎ倒しているP38カービンだったのです。
スゲーなと。親父も私もそのカービンの前で見惚れていました。
当時はカービンとかそんな呼び方は知りませんでしたが、
ナポレオン・ソロの銃はカッコいいなと。拳銃に長いバレルやスコープや取手をつけて敵を狙い撃ち任務完了時にはそれらパーツをバラしアタッシュケースに仕舞う。
その動作がなんともカッコよすぎたんです。
親父も欲しかったんだと思います。P38カービンの前から動こうとしませんでした。
でも私たち親子にはとても買えるような金額じゃなかったようでそのまま店をあとにしました。
そのとき私は子供心に大人になったら2丁買って親父にも1丁プレゼントしてあげよう。と、思ったような気がします。が、気がしないような気もします。
しかし、買えるような大人になったらもうアンクルP38カービンは売っていませんでした。
それからウン十年間、こころのどこかでアンクルカービンには憧れていたと思います。
そして数年前にジーク社よりアンクルキットの販売を知り喜びました。
アメ横で親父と観たアンクルカービンの記憶が走馬灯のように駆け巡りました。
でも親父は既に亡くなっておりましたので2キットではなく自分の分を1キットだけ買いました。
親父と一緒に見た壁付けのアンクルカービンのように、私のアンクルも今は自室の壁に飾ってあります。
親父もさぞかし草葉の陰で羨ましがっている、いえ、喜んでいることでしょう。
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偽レーサーT |
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